さよなら苺飴



「・・・・やめてとか、言わないわけ?」

そう、君はいつも自分から来るくせに
すこし引き気味になる

「もう慣れたよ」

そう言うと君は
離れることなくギューっとしてくる


昔はよくあったけど
もうこういったスキンシップをするのは
たぶん2年ぶりくらいだろうか。



「私は君がとてもとても好きだったよ」

君の本気かわからないような言葉の軽さ

そして聞きなれた言葉を僕はスラリとかわす

「はいはい。」




「ほんとだよ?」


「耳にタコだよ。」


そう言うと君は悔しそうにする
君からの愛の言葉なんて
何百回も聞いたんだ。

別れてから僕から全く離れようとしなかった君。

飽き性で気分屋で
ひとりを貫くってどれだけ言っても
君はどんなに言っても離れようとしなかった。


時々お互い恋人を作っていたけど
傍から見たらお互い真っ当な人間ではないのかもしれないね。

普段しっかりしていて
誰からも評価をもらえるような
後輩から尊敬されるような君が

いつも僕が絡むと中途半端になっていた



「・・・・俺のことそんなに大事だったの?」



思わず声に出してしまった


そう聞くと君はさっきとは打って変わって思いずっしりした声で言った



「当たり前だよ。じゃなきゃ君を追いかけてこんな田舎こないって」


君は僕を追いかけて大都会から
こんな車がないと生きていけない田舎に来てしまった。

もうずっと昔のこと過ぎて
忘れていた

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