セピア‐ため息の行方
「あら?!お隣の男性の人の事もご存じなの?」
  と言って蛍子は興味津々な表情を峻甫に向けた。


「はい。あの男性はこの僕に『あの女性だけは止めておいた方が良い。この僕がいくらモーションをかけても、振り向いてくれなかったくらいの女性だから、多分ムリだ。もしも仮に君がコクったとしても火を見るより明らかだと思う』って釘を刺された事があるんです」
  と峻甫は淋し気な顔で言った。


「んまあ?!なんて上から目線の嫌な奴なのかしら?でもって壺田さんは、そんな事言われてあっさりと引き下がった訳?」


「はい。だって実際絶対にムリですから。ちなみにあの男性は僕が働いている会社の社長のご子息ですし、とうてい僕みたいな平社員には太刀打ち出来ない相手なんです……」


「……」

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