セピア‐ため息の行方
『うっ、い・痛たたた……』それにしてもこうして時々自分を襲う『ズキッ!』と言う周期的な鈍い頭の痛み。これはいったいどう言う事なのだろうか?と花梨は思った。そしてこの痛みはいつまで続くのだろう?この痛みのせいで花梨は、思考脳力が鈍ってしまったのではないか?と思うくらいに、その痛みは感覚を空けながらも常に花梨を悩ませ続ける。


  今、花梨は在りえない場所にいて一度も会った事もない女性に会っている。多分これは夢?夢ならばそのうち醒めるだろう。が、しかし次第に花梨の心の奥底に眠っていた好奇心がムクムクと目覚めて来て、花梨はこの後の展開が気になり始めてきた。だから暫くはこのまま静かに時が流れてくれれば良いなとそう思った。


  この気持ちはなんだか大好きな小説を読んでいる時に早く結末を知りたいと思う気持ちに似ているなとも花梨は秘かに思った。そして同時にこの事が夢だったにしても正夢って事もあるし、それに自分が普段李さんを思う強い気持ちがこうした夢を見させてくれているのでは?と花梨はあくまでもポジティブに捉えた。だから花梨はこのまま李と過ごし曾おじいちゃんの奥さんである曾おばあちゃんの李がどう言う女性だったのかを知るのも悪くはないかな?とも思い始めていた。


  すると
「さあ、とにかく家の中に入って!このお話の続きは家の中でゆっくりとする事にしましょう」
  とそう李に促されて花梨はひとまず李と共に家の中に入った。



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