セピア‐ため息の行方
「あはは。私ね、若い頃からずっと泰造さんに片想いしているのよ。今もずっとしているわ。でも泰造さんったら近々こちらに来る予定があるのにも拘らず、依然としてまた李さんの元へ来たがっているの。失礼しちゃうわよね。現世で一緒だったのだから今度は違う人を選んでも良いのにね。ホントに泰造さんにはがっくりだわ」
 と本当に蛍子は残念そうに言った。


「あっは。曾おじいちゃんって結構もてるんだあ」
  と花梨が多少ノーテンキな言い方をして笑った。


「そうよ。若い時の泰造さんってそりゃあもうやさしくって男前だったんだから。でも泰造さんの女性の好みは李さんのように、ちっちゃくて色白の女の子だったみたいなのよね。ほら私って見ての通り色黒で背が高くてまる宝塚の男役の人みたいでしょ。こんなだから泰造さんの好みとは正反対だったの。だから悔しい事に泰造さんに全然相手にもされなかったわ。所詮私には叶わない片想いだったって訳」
 としんみりと蛍子は言った。
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