セピア‐ため息の行方
  李と蛍子が休憩からモニター室に戻って来ると、すぐにスピリチァルの講義が再開された。

「えーと我々が現世の人間を操作する場合、必ずその人がマニュアルの事例にそっているかどうなのかと言う判断が非常に難しいものです。が、しかしマニュアルの事例を参考にしてゆく事がやはり一般的なのだと思います。ですのでマニュアルの事例をしっかりと頭の中に叩き込んでおくように」
  と言いながら蛍子は受講者全員に分厚いマニュアルの本を配った。


  皆はそれぞれはそのマニュアルの本を受け取ると一斉に
「ありがとうございます」
  とお礼の言葉を言った。


  その分厚いマニュアル本を手にした花梨は早速ページを開いてみた。目次を見ただけでそのマニュアルは実に多岐に渡っていた。内容も濃そうに思えた。でも此処にいる間にこのマニュアルを全部覚えなければならないのだろうか?と思いふっと不安にもなった。


  もしかしてこのマニュアルに関しての試験なんかもあったりするんだろうか?などと考えているうちに花梨はなんか突然に谷底に落とされたみたいにユーツな気分になってきた。そして花梨のその酷(ひど)い落胆振りに更に輪をかけるようにして雛子は


「私はもうその本を読破してしまったし全部頭の中に叩き込み済みよ」
  と花梨の耳元にそっと耳打ちした。
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