オフィス・ラブ #∞【SS集】
無意識に駆け寄っちゃったってこと?

そりゃあ。



「想像するだけで、かなり可愛いですね」



見たかったなあ、と言う前に、ガツンとむこうずねに衝撃が来た。

いってえ!


前を見れば、そ知らぬふりで煙草吸ってやがる。

超大人げない、この人。



「冷やかされませんでした?」

「されたけど、私が一方的にファンみたいな扱いだったの、おかしいと思わない」

「あ、俺が聞いたのも、そんな感じです」

「今となっては、事実の一部でしかないね」



わけ知り顔で言う石本さんを、赤くなって大塚さんがにらむ。


そうなのだ。

大塚さんが可愛かったんだよーとその話を聞いたから、えっバレちゃったの、と思ったら。

続いたのは「できてるぽいよ」とかでなく「ほんと新庄さんになついてるね」とか、そういう声ばかり。

せいぜい「あのふたり、まだ仲いいんだね」というくらいで。


企画部に配属されて、6部以外の営業部ともつきあいができたからわかるんだけど、6部の人って、にぎやかで能天気に見えて、最後のところで割と大人なんだよね。

たぶんみんな、可能性に気づいていても、あえて口にしない、みたいな。

加えて、安易に冷やかす気が起こらないくらい、6部時代のこのふたりの関係が好感度高かったんだろう。


あとはたぶん、新庄さんのキャラが、そっちの方向に想像を発展させないんじゃないだろうかと俺はにらんだ。

当の新庄さんは何を言われたんだろうと訊くと、案の定で。



「俺は、そういう話題を振られない」

「振らせないんだろ。得だよね、お前みたいの」


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