オフィス・ラブ #∞【SS集】
ああ、わかる。

この人は、こういう感じなのに、意外と話術に長けていて。

望まない話になると、ふいと話題を変えて、元の話に戻らせない空気を作ってしまうのが得意だ。

そうなった新庄さんにしつこく追及できる人なんて、いないだろう。

いたとしても、堤さんくらいだろう。



「まあそもそも、隠してるわけでもないんだけどな」

「そうなんですよね」



ふたりがうなずきあう。

だよね、このふたり、けっこう堂々と一緒にランチしたりしてたし、特にもう隠す気はないみたい。

でも元の関係が関係なだけに、あえて知らせはしないってところか、特に関係者には。

不思議なもので、そういうつもりでいると案外バレないんだよね、ものごとって。


そうだ。



「大塚さんて、どこからが浮気だと思います?」



唐突な質問にびっくりしたのか、彼女がきょとんと俺を見る。

うーんと少し考えて、首をかしげながら言った。



「そこに気持ちがあったら、かな」



ふたりして同じこと言ってる。

堤さんが、再び同じ突っこみをした。



「たとえば新庄がさ、何をしたら浮気かもって思う?」

「あ、新庄さんの話ですか?」



他に誰の話があるんだ。

4人の視線が集まる中、大塚さんは腕を組んで考えこみ、やがて顔を上げて、きっぱりと言った。



「新庄さんは、しないと思います」


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