オフィス・ラブ #∞【SS集】
舞ちゃんも上手。

パティシエかってくらい綺麗なケーキとか、つくってくれる。


凛ちゃんママは、舞を講師にお菓子教室でも経営しようかなって笑ってた。

今もたぶん、キッチンの巨大なオーブンの前で、凛ちゃんママと舞ちゃんが、仕掛けておいたケーキを見ているはずだ。



「おまけに、花の絵も描いてあげる」

「すっごい嬉しい」



凛ちゃんは、絵も得意。

私は残念ながらお母さんに似て、全然ダメ。


でもなんでか、お兄ちゃんは絵が上手なんだよね。

お父さんも、描いてるとこなんて見たことないから、あまり得意じゃないんだと思うんだけど。

設計士でもある、じいじの血かな。


そのお兄ちゃんは、さっきのテーブルで、さっそくクワガタを描きとっている。

ここから見えるだけでも、その絵はうまい。



「デザートできたよー」



キッチンから、凛ちゃんママの声がした。

倒れそうになるくらいのいい香りが、ここまでただよってくる。

ベイクドチーズケーキだ。



「凛、ちょっと手伝って」

「はあい」



舞ちゃんの呼び声に、最後の野菜をくるっとラップしてから、凛ちゃんが駆けていった。

私は包み終わった野菜たちをざるに乗せて、家に向かった。

続いてお兄ちゃんと、お父さんたちも戻ってくる。


デザートはゆっくり家の中で、が毎回のお決まりなのだ。

とっておきの、美しいティーセットが出され、凛ちゃんパパがそれを楕円のテーブルに並べる。

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