オフィス・ラブ #∞【SS集】
6部への異動が決まった時、特に新庄とかかわりができるとは考えていなかった。

すでに彼がマーケへ異動して数ヶ月が過ぎていたし、まあ彼のいた部署なら業務も整理されていて働きやすいだろうと思ったくらいだった。


大塚という唯一の女性営業が、どうやら打てば響くようで、なかなか面白いなと思っていたところ。

彼女と一緒にいる新庄に、偶然遭遇した。


ひと目でわかった。

そもそも新庄は、どうでもいい女性とふたりで食事をとるような奴ではない。

それより何より、大塚の仕事ぶりが何かを思い起こさせると思ったら、新庄だ、と気がついたのだった。


10頼むと12くらいになって返ってきて、かつ時間は0.8ほどに短縮されている。

返答は的確だけれど、あいまいさも恐れず、さあ、などと平気で言う。

けれど知ったかぶりだけは絶対にしない。


その印象は、大塚と同じ部署で働くほどに強まっていき、やがては確信に変わった。

このふたりは、どこかで影響しあっている。


まあ、もともと生真面目で責任感が強いという共通点もあったんだろう。


これは、面白い。

何が面白いって、大塚をいじるうちにわかったことには、どうやらこのふたりはいまひとつ、はっきりしない関係のようなのだ。


たぶん新庄のほうが、態度を決めかねているんだろう、そういう奴だ。

元部下に、愛情はあれど、一線を越えるのがためらわれて、けれど手元に置いておきたい、そんなところだろう。


相変わらず、甘くて可愛いね。

堤は、おかしくて仕方がなかった。


かつての罪悪感とは、どう折りあいをつけたんだ、新庄?

あの時は、ちょっと可哀想なことをしたから、今回は狂言回しの役でもやってやろうかな。


けど、ただ取り持つのも面白くないから。

当然、こっちもそれなりに楽しませてもらうけどね。



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