オフィス・ラブ #∞【SS集】
ねえ、お前も気づいただろ?

潔癖で情に厚いお前もね、心の中には、ドロドロした一面を持ってるんだよ。

それを扱いかねてるお前は、最高に面白くて可愛いけど。

お前自身は、そんな自分を、もう見たくもなくて、疲れ果てて、泣きたい気持ちなんだろうね。


俺は、それを救ってやる気は毛頭ないから。

しばらくそうして、自己嫌悪の淵に立ってるといいよ。


それが俺からの、ごほうびだよ。





翌月には新庄の異動が発表になり、年度が変わると共に彼は営業局へ移っていった。

いずれ自分も行きたいと思っていた部署でもあり、いいなあ、と純粋に見届けた。


コンペから1ヶ月あまりの間、新庄は強情に、業務以外では堤とまったく口を利かず。

ついに最後までまともな会話を交わさないまま、部署を去った。


営業部署での活躍は、耳に届いていた。

お互い、少しは仕事を選べる立場になっていたこともあり、関係部署であるにもかかわらず、一度も直接仕事をしなかった。


2年後、堤にも異動の話があり、新庄と同じ11営業局へと移った。

ここでもやはり、同年代の噂は横に広まる。

ほぼ史上最年少といっていい年次でチーフクラスの階級へ上がった新庄の半年後に、堤も同じ階級へと昇進した。


廊下ですれ違っても、あくまで無視を決めこむ新庄の純粋さと強情さに、いつも笑い。

笑われることで、いっそう新庄が頑なになるのが、おかしくて仕方なかった。

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