オフィス・ラブ #∞【SS集】
すごい、大人の男。
その人を見た時、それしか思い浮かばなかった。
大人の男。
そうか、恵利は、俺の次に、こういう人を選んだんだ。
いや、次かどうか知らないけど。
お似合いだな。
俺とも、学生時代はそこそこ似合ってたと思うけど。
働きはじめてからの恵利は、なんだかどんどん綺麗になって、かっこよくなっていってたから。
確かに、今の恵利には、ああいう人が似合う。
だけど、彼氏じゃないと恵利は言った。
…んん?
だってさあ、さっきの、あの人の、俺を見た目、お前も見てただろ。
俺、消されるかと思ったよ?
もしかして、わかんなかったの?
お前、そういうの、けっこう鋭いほうじゃなかったっけ。
あの人のこと、好きすぎて、わかんないのかな。
「言うしか、ないだろ」
言いたいこと言うしか、ない。
人ってさ、どんな時でも、それしかできないんだと思うんだよね。
結局それが、ベストなんだと、思うんだよね。
俺は、心の底からお前を応援してるけど。
やっぱりちょっと、男として悔しい思いもあるから。
それくらいしか、言ってやらないことにする。
あとは、自分でなんとかするように。