オフィス・ラブ #∞【SS集】
なあ、恵利。
楽しかったね、大学後半。
俺の車で、いろんなとこ行って。
だんだん恵利も、車に詳しくなってってくれるのが、嬉しかった。
お父さんは意外と気さくで。
お兄さんは、俺に言いたいことがかなりあるみたいだったけど、我慢してくれて。
お母さんは優しくて。
奈保ちゃんは可愛かった。
だけどお互い社会に出ると、少しずつ価値観も変わって、世界も広がって。
すごく好きだけど、別に一緒にいなくていいんじゃないかって気がしてきた。
「もう、ないのかもね」
恵利がそう言った時、俺は。
先に言わせてごめんって、思ったんだよ。
絶対に幸せになってほしいけど。
相手は、俺じゃなくてもいい。
俺はお前のこと、そんなふうに思うようになってた。