オフィス・ラブ #∞【SS集】

新庄貴志。

マーケに研修に入って、ようやく知ったフルネーム。


電話やら話し声やらでにぎやかだった営業局と違って、ぴりっと緊張した空気のフロアに初めて足を踏みいれた時、面倒見役を紹介するよ、とチームリーダーが、ひとりの社員を手招きした。

脚を組んで、隣の人とモニタをのぞきこんで何か話していたその人は、それに気づくと、さっと立ちあがってこちらに来た。


でかいな。

てか、雰囲気あるな。



「新庄くんだ。うちの中では一番きみと歳が近いから、仲よくやってね」



リーダーにそう紹介されて、思わずまじまじとその人を見あげた。

俺より数センチ背の高いその人は、ポケットに手を突っこんで、悠然と俺を見返す。



「よろしく」



あ、俺の話、伝わってんな、と。

その時、感じた。





PCと一緒に持ちこんでいた紙資料に目を落としながら、くわえ煙草で脚を組む姿を眺める。

そこそこ鍛えてありそうな身体に、いかにも運動神経のよさげな身のこなし。

たぶん、実身長より高く見えるタイプだ。

俺と逆だ。



これまでの数日で実感した、容赦ないけれど、すこぶる丁寧で親身な指導。

言葉少ななぶん、発言は正確。

こちらの疑問には、手間を惜しむことなく情報をくれる。


チームリーダーが彼の背中を叩いて楽しそうに言うには「お前の仕事は減らさないからな」だそうで、俺の存在は完璧にアドオンらしい。

えええ、それでこれだけ面倒見てくれてるの、どんだけキャパあるの。

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