恋する僕らのひみつ。


「先輩のこと、大好きなのに……」



うつむくあたしが呟いた瞬間、先輩はあたしのことを抱き締める。



「俺も結雨が好きだよ。だから我慢できなかった。ごめん」



「先輩……」



大好きなのに。



キスする勇気がまだないあたしを、嫌いにならないでください。



「ゆっくりでいいよ。ごめんな」



そう言って先輩は、あたしを抱きしめながら、



あたしの頭をポンポンと優しく叩いた。



顔を逸らすなんて、先輩を傷つけたかもしれないのに。



それでも優しい言葉で



あたしを抱き締めてくれる先輩に



胸がぎゅって締めつけられて、涙がこみあげてくる。



「そろそろ帰らないとな。遅くならないうちに送ってくよ」



「はい……」



こんなに大好きなのに。



キスする勇気がない……。



恋する乙女は、大変です。
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