鈍感ちゃんと意地悪くんの周囲の人々
「ほら立花、またぼ~っとして」

教室の入口で、またぼーっと突ったっている立花さんに、瀬田君が声をかけた。
体育が終わって教室に戻る途中のわたしは、その様子を廊下から伺っていた。

男子は今日はサッカーだって言ってたっけ。
きっとかっこよくシュートとか決めちゃったんだろうな、瀬田君。
見たかったな。

「少し飲む?」

「うん、ありがと!
のど渇いてたんだ!」

瀬田君の差し出したお茶を、立花さんはためらうことなく受け取って、飲んだ。
毎日繰り返されるその行為。
瀬田君に恋をしているわたしとしては、見ていられない。
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