奏で桜

2

デパートの帰り道。
夕陽が沈みそうで沈まないそんな頃。

私は日傘を差して、
ヒイロと一緒に帰っていた。





「今日も楽しかったね、ヒイロ。」



「…うん。」


彼女はまだ先ほどの出来事を
気にしている様子でいた。



「…ねぇ、ヒイロ。」


「なぁに?」


「…ごめんね。」


私は〝それ〟を埋めるように
弱々しく謝った。
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