奏で桜
彼女は、そんな私の様子を見て
少し驚き、取り繕うように



「…ううん、私の方こそごめんね。
ずっと暗い顔ばかりして…。

ティアナちゃんと遊んでるのに
こんなんじゃダメだよね。うん。

…よし、もう大丈夫!
ティアナちゃん!
帰るまでよろしくねっ!」


…と言う。


彼女が無理に明るくしようと
している事が目に見えてわかった。

彼女のその様子は私の心に
十字架のようなものを突き刺す。







〝本当にごめんね…ヒイロ。〟





…そんな事を考えながら、
私はただ、〝ありがとう〟と
だけ伝えた。
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