奏で桜
手を抜かないで一生懸命頑張っている
姿をもう何度も目にしてきた。

もうそれ以上は働かない方がいいよって、
警告したこともあったよ。

それでも彼は〝大丈夫〟って笑いながら
誤魔化してた。

それくらい彼は努力してたの。




…ティアナちゃん言ったよね?
私が起きる時は〝大抵家にいる〟って。

彼が、アルバイトの数を減らした時、
私、一回だけ聞いたことあるよ。

どうして、いまさらアルバイトの数を
減らしたの?って。

最初はさ、やっぱり辛いから…とか、
休みたいから…とか、
そんな理由かなって、思ったよ。



…でも、違ったの。
彼の答えた言葉はね…ーー。」










…見たこともないのに、情景が独りでに
頭の中に浮かび上がってくる。


彼女の伝える言葉とあいつの放った答えは
見事なまでにシンクロしていた。
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