奏で桜

4

ーコンコンっ







「どうぞ。」




ーガチャっ



「…来てくれたんですね。お嬢様。」



「…。」













一歩ずつ歩み寄っていくと、
彼は私を迎え入れるようにパタンと
本を閉じた。





「…。」




「…りんごでも、剥きましょうか?」





あいつは、ヒイロが持参した
お見舞いの果物を横目で見て、可否を伺う。

私は首を横に振り、それを断った。
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