奏で桜
私は紅茶のレモンティーと
チョコレートのケーキを注文し、
彼女はコーヒーと、
胡麻のようなもので
コーティングされたまん丸の
〝何か〟を注文した。



「…ヒイロ。それ、なあに…?」


「ん?…ああ、これはね、
胡麻団子っていうの。
見たことない?」


「〝ゴマダンゴ〟…?
…美味しいの?」


「うん、美味しいよ!
一つ食べてみる?」


私は差し出された、未知の球体を
フォークで突き刺し、
吸血鬼の牙が見えないよう手のひらで
口を覆いながらそれを運んでいった。
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