イケメン御曹司に独占されてます
こんなに近い距離で、普段からは想像できないほど色っぽい瞳で見つめられて、息もできないくらい心臓の鼓動が激しくなって。
脳が上手く働かず、言わなくてもいい情報まで口にしてしまう。


目の前で池永さんの口角がふっと上がる。
そしてメタルフレームの眼鏡を避けるように顔が傾いた。
これって、映画でみるキスシーンの流れに似てる?
いや、このままだったら確実に唇と唇が触れる。

池永さんと?
そんな……馬鹿な……。
いや、でもこれ絶対……

危うく触れ合いそうになったところで、全身金縛り状態だった私の唇が、微か動く。


「お、お腹すいた……」


「え?」


ようやく絞り出した言葉に、たぶん、もうほとんど唇が触れるか触れないかの距離で、ぴたりと体を止めた池永さんがそっと離れる。


「ま、まだ私、ご飯全然食べてません……」


瞬きもできないまま、乾燥しきったドライアイで池永さんを見つめる。
そんな私を潤んだ眼差しで見ていた池永さんが、強く握っていた手首をようやく放した。
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