イケメン御曹司に独占されてます

『福田、今どこ?』


お疲れ様ですという言葉を発する私を遮るように甘い声が響いて、妙に胸の内側をくすぐられる。


——萌愛、無理しないで。泣いていい。


耳を心地よい響きに呼応して、脳裏によみがえる記憶。疲れているせいなのか、なんのガードもできずに胸を埋め尽くして……。
あれが夢なのか現実なのか、やっぱりまだよく分からない。頭の中が……モヤモヤする。


「今終わって、エレベーターに乗るところです」


平静を装って答えると『そうか』と、ホッとしたように言われ、なぜか胸がキュンとする。


『今、山川橋梁(きょうりょう)の佐藤さんといるから、お前も来いよ。メシ、食って帰れ』


一方的に場所を告げると、通話は唐突に切れた。




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