イケメン御曹司に独占されてます
藍色や薄い紫、えんじやピンク。秋の花々は春や夏より少し控えめで、それでいて凛として潔い。
ベンチの両脇にはたくさんの薔薇。ちょうど私が座っているベンチの上にはつるバラが絡まるアーチ。四季咲きのものが何種類か可憐な花をつけているけれど、きっと春になればもっともっと綺麗なのだろう。

花々に囲まれて、肩の力が自然に抜ける。昔から、木々の緑や花の中にいると不思議と心が休まった。……だからクローバーで覆われた緑の絨毯のようなあの場所が大好きだったのだ。


遠い記憶。切れ切れの場面が脳裏をかすめたとき、不意に人の気配を感じて顔を上げる。目の前には、いつの間にか私の隣に腰掛けていた拓哉さんの美しすぎる王子様スマイルがあった。


薄いピンクのシャツに茶系のジャケット。チーフやネクタイの色は華やかな拓哉さんのイメージに合わせた暖色系。


「こんにちは。もう食事は済んだ? 先週のパーティじゃ全然食べてなかったし、良かったら何かとってこようか?」


優しい微笑みに、おもわず釣られて笑顔を返す。


「ありがとうございます。でも、今日はもうたくさんいただいたので」


生ハムやサーモンのサンドウィッチやテリーヌ、キッシュや焼き菓子などのご馳走はどれも本当に美味しくて、さっき池永さんと一緒にたくさん食べてお腹がいっぱいだ。
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