イケメン御曹司に独占されてます
パーティが始まって、おばあ様は私を〝会社の従業員〟では無く〝秀明の友人〟と皆に紹介してしまった。
招かれた人たちの中にはそれを〝特別な人〟と解釈してしまった人も少なからずいて……。


それでも、気後れしてしまった先週のホテルのパーティのようなことは起こらず、皆一様に優しい対応をしてくれる。


おばあ様のお友達は手芸や山歩き、ボランティアなどのお仲間らしく、年代もおばあ様位の方々から私と同じか、もっと若い人たちまでとバラエティに富んでいる。

私も、とても和やかで優しい雰囲気の中、美味しい昼食と紅茶を楽しむことができた。


「秀明さん、この間お願いしていた、アトリエに飾る絵のことなんだけど」


「あぁ、画廊を経営している友人に連絡してありますよ。来月の頭にでも、候補の作品を何点かお持ちするつもりだと言っていました。週明けには、連絡があるはずですよ」


池永さんはパーティが始まってからしばらく片時も私のそばを離れなかったけれど、時間が経つにつれ周囲と馴染んで笑顔を見せる私にようやく安心したのか、今は初老の品の良いご婦人と話し込んでいる。
その会話にまた別のご婦人たちが加わり——そして、池永さんを取り囲む高齢女性の輪。


少し離れた芝生の隅に移動した私は、ベンチに座って目の前の花壇の花々に目を向けた。
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