イケメン御曹司に独占されてます
『……秀明さんには秀明さんの事情があるんだろ。明日のプレゼンだって、考えられないくらい大きな規模の案件なんだ。七海子には分かんないだろうけど』



『なにその言い方!! 野口、秀明さんの肩持つわけ!?』



『肩を持つとか持たないとか、そんな主観的な考えじゃない。
……大体、あの時俺だって見てたけど、泣きながら駆け込んできたのは加奈子さんだろ。あんなに無防備に人目に晒された友人がいれば、誰だってフォローする。
例えば萌愛があんなふうになれば、俺だってあんなふうに庇ったよ。それでも七海子は怒るわけ?』



淡々と言い放つ野口くんの口調に、七海子が苛立つのが分かった。



『なにその上から目線。野口の言ってること聞いてたら、まるで萌愛が悪いみたいに聞こえる!!』



『悪いとは言ってない。でも、もう少し秀明さんのこと信頼できないのかとは思ってる。
そりゃこんな大騒動になって戸惑うのは分かるけど、今一番秀明さんのそばにいるのは萌愛なんだから』



そのままじっと見つめる野口くんに、そんなことも分かんないのかと無言で言われた気がして思わず視線を落とした。



『あー、あったまきた!! 萌愛、帰ろ』
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