イケメン御曹司に独占されてます
怒りを顕にした七海子が、立ち上がって身繕いを始める。そんな様子を、うんざりした顔の野口くんは座ったまま見上げる。


『ちょうど良かった。俺もそろそろ帰ろうと思ってたんだ。
明日は秀明さんのお供で出張だから。
萌愛、この時期あまり大きな動きは無いと思うけど、何かあれば秀明さんには連絡しないで俺にしろ。
明日は特に、余計な負担はかけたくない』


『余計な負担ですって!? 野口、萌愛が秀明さんの負担になるっていうの!?』


『少なくとも今はそうだ。……長い間準備した大切な仕事なんだ。明日だけは連絡するな』


きっぱりと言い放った野口くんの揺らぎ無い視線に、七海子が憎々しげな視線を向けた。

こんな時になんだけど、美男美女の喧嘩には迫力がある。


『萌愛、行こ』


『あ、お金……』


『いらないよ。萌愛ほとんど食べてないじゃん。お支払いは、社内一のエリート部門に配属された、将来有望な営業職に払ってもらえば良いよ』


最後にフンッという鼻息を残して、七海子は席を立った。




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