イケメン御曹司に独占されてます
「萌愛ちゃん、ありがとう。でもどうしても無理なら良いんだ。元はといえば俺のミスなんだし……。今回のことでまたふりだしかも知れないけど、めげずにまた頑張るから」
清々しいほどの潔さで佐藤さんが言った言葉には、負け惜しみとか、卑屈さとかは一切なく——。
諦めないのだ、と思った。
きっと挑むことを諦めないのだ。
それはきっと仕事だけではなく、佐藤さんの人生そのものが、そうなのだと悟った。
そしてきっと、それは池永さんも同じ——。
電話を切ったあと急いで外出の支度をする私を、村井さんが優しく見つめる。
「滝川さんのところに行ってきます」
慌てて羽織ったジャケットの襟を、村井さんがなおしてくれる。
「いってらっしゃい。しっかりね」