イケメン御曹司に独占されてます
無我夢中で走ってたどり着いた公園には、複数の親子連れで賑わっている。
泣きながら走り込んだ私を、子供たちが不思議そうに見つめている。


「萌愛!!」


大きな声で呼ばれて振り返ると、すぐそばまで池永さんが迫っていた。
反射的にまた足が動き出す。


もう犬はいないのに、どうして逃げ出してしまうのだろう。
そうだ。私は月だけじゃなく犬も怖い。


あれから——月夜の工場跡で野犬に追われた時から、ほんの小さな子犬に吠えられただけで震えてしまう。
池永さんじゃないけど、トラウマだ。


逃れるように夢中で走った。
何が怖いの?
犬が?
……池永さんが?


すぐ後ろで私を呼ぶ声が聞こえて、目の前にある遊具に反射的に登る。

子供の頃とは違い、自分の体の重さに比例する重力で大人が登るとかなり不安定だ。
登っている時には分からなかったけど、鉄製のパイプで組まれた遊具はてっぺんまで登ると結構な高さを感じる。

上から見下ろすと、池永さんが私を追って登ってこようとしてるのが見えた。
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