イケメン御曹司に独占されてます
長いキスのあと、マンションの近くで止めた車の中で唇がようやく離れた。
ドキドキと息ができないのとで少し胸が苦しくなってしまった私を、池永さんの優しい腕がそっと抱いてくれる。


「ごめん——。だけど、止まらないな。まだまだ足りない。……もっと萌愛に触れたい」


そんな甘い言葉を耳元で囁かれて、恥ずかしいけれど体中が幸せな気持ちで満たされる。






今日はクリスマスイブ。
早めに仕事を切り上げてくれた池永さんが連れて行ってくれたのは小さな洋食屋さん。

子供の頃、家族でよく来ていたというお店は、シェフと奥さんがふたりで経営しているこじんまりした素敵な場所だ。

今日は常連さんたちの予約で埋まっているということで、時間を気にすることなくゆっくり料理を楽しむことができた。

シェフと奥さんに私を紹介する池永さんは、まるで少年のようににかんだ表情を見せて——。
源兄ちゃんの家族もそうだけど、池永さんを子供の頃から知る人たちの優しさの中で、池永さんがどれほどの傷を癒してきたのか——そんなことを考えると、切なさで胸が苦しくなる。
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