イケメン御曹司に独占されてます
ふと我に返って、必要以上にはしゃいだ自分にあきれてしまう。


「萌愛……」


「ごめん、源兄ちゃん。そうだよね。今更会ったって」


心配そうに見つめる優しい源兄ちゃんを、とってもありがたいと思う。
いつだって私が傷つかないように考えてくれる、大切な人たちだ。


「おばさん、コーヒーのおかわりちょうだい」


キッチンに向かって立ち上がる。
それから源兄ちゃんを振り返ると、精一杯元気な笑顔を向けた。


「やっぱり今日は帰んなきゃ。明日、友達と約束してたんだった」


「そう……か。なら送ってやる。どうせ帰り道だからな」


少し切ない顔をした源兄ちゃん。
いかにもないかつい系だけど、本当は繊細で優しい源兄ちゃん。
だからターくんはあんなに、源兄ちゃんと仲が良かったんだよね。


電話をかけるそぶりでリビングを出ると、我慢していたため息をそっとついた。

指が無意識に左腕をなぞる。
カットソーの上からでも分かるその緩慢な起伏は、甘い記憶と共に疼くような痛みを連れてくる。


ほんの小さな女の子だった私が、まるで花火のように散らせた熱い恋。

八歳の私が経験したような恋を、また私はすることができるだろうか。
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