イケメン御曹司に独占されてます

「思い出?」


「うん。……だけど、笑わない?」


頼りない気持ちで見上げると、七海子はこの上もなく優しい顔で笑った。
まるで聖母マリアみたいに。


「小学校二年の時、プリンス仮面様みたいな人に会って」


「プリンス仮面様?」


ワインを飲み干した七海子が訝しげに私を見る。


「知らないかなぁ。『美少女戦士プリンセスローズ』に出てきた」


「あ、あれね! 見てた見てた。あー、私はどっちかって言うと、『悪の王子ダークネスローズ』の方が好きだったけどなぁ〜」


七海子だって知っているほど当時の私たちが熱中していたアニメ。
とにかく、ターくんはプリンス仮面様そのものだったのだ。


あの頃、私は源兄ちゃんやターくんにくっついて、毎日のようにあの閉鎖された工場跡に出入りするようになっていた。

そしてターくんが帰ってしまうと知ったある月夜の夜に——。
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