イケメン御曹司に独占されてます
「経理に配属になった広瀬さん、もう簿記二級とったんだってね。入社半年ですごいよ。私なんて二年もかかったのに。やっぱ、頭のできが違うんだよね」


「そんなことないよ。萌愛だって頑張ってるよ」


「いや〜。やっぱり仕事のできるできないって、努力でカバーできない部分もあるよね。
努力すればなんとかできるようにはなるけど、素質がある人が努力したら、やっぱり太刀打ちできないもんね。

……広瀬さんが第三営業部に入った方が、きっと池永さんも楽だったかも。あ、だけど今となっては、経理部も私なんていらないか。ははは、行くとこなしだね……」


ダメだ。どんどん落ち込んできた。
自分がずば抜けて優秀な人間じゃないことぐらいは、もうずっと前から分かってる。
だからこそ人一倍努力をしてきたつもりだ。
だけど……。今回の件では、心底自分の不甲斐なさが嫌になってしまった。


堪えきれずに落ちた涙に、七海子が黙ってティッシュをくれる。



「やだ、ごめん。こんなことで泣くなんて……」



こんなの、まるで子供みたいだ。
自分の幼さがなおさら際立つようで、情けなさからますます涙がこぼれる。
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