イケメン御曹司に独占されてます
「こんばんは。今日は専務のお供なのかな?」
「はい。奥様の代理に、私と同期の福田がお供致しております」
「いやいや、そんなに堅苦しくならないでおくれ。今はプライベートな時間なんだからね。でも専務にはご挨拶はしておこうか」
「はい、こちらです。……萌愛、ちょっと待ってて」
小声で言い残し、七海子と加奈子さんたちは専務のもとに向かった。
そして池永さんと専務がいる場所にたどり着くと、そこで和やかな談笑の輪ができる。
遠目に見る池永さんはいつものスーツ姿とは違って、質の良い黒いタキシードが本当によく似合っている。
スラリと細身でありながら、高い背丈と長い手足。
柔らかそうな黒髪はきちんとセットされていて、眼鏡をかけてさえ端麗だと分かる繊細な顔立ちが、今は加奈子さんに向かって優しい微笑みを浮かべている。
加奈子さんはというと、上品で、端正で、麗しくて、優しげで。
女性から見ても非の打ち所のない美女だと、心の底から思う。
本当に、誰から見てもお似合いの、完璧な組み合わせ。
それでも、ふたりを見ているとどうしてこんなに胸が苦しくなるだろう。
変だ。
すごく変だ、私。
華やかな空間が急に息苦しくなって、私は逃げるように会場の外に出た。