今宵、君の翼で


「元気だった?」


翼は前と変わらない笑顔でそう言った。


「うん…」


「Phoenixの奴らも何人か捕まっちまって…大輝や世話になった四条さんも。ほんと俺のせいで…」


「翼のせいじゃないよ…みんな承知の上で翼についてきたんだもん。しょうがないよ」


四条さんには逮捕前にお礼のメールを送っていた。

翼のことで色々と動いてくれたから…

四条さんがいなかったら、翼が犯人だと仕立てあげられたままだったかもしれない。


翼はしばらく私の目をじっと見つめ、


「美羽が辛いとき、側にいてやれなくてごめん」


と少し悲しげに言った。


お父さんが逮捕されてからすぐに翼も捕まったから…気にかけてくれていたみたい。


「ううん…」


今すぐ翼の手を握って抱きしめたいのに。


こんなに近くにいるのに、それができなくてもどかしい。



「美羽、父ちゃんとも面会してんの?」


「うんたまに…元気そうだよ」

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