流れ星に4回目の願いを呟く時。
12. 流れ星に4回目の願いを呟く時。

 ホタルへ



 この手紙を渡すのに、本当に随分と長い時間がかかりました。ホタルが私を恨んでいても、それは仕方がないことだと思います。


 私は架が好きでした。ホタルと同じくらい。その想いが負けていたとは思いません。絶対。


 でも、本当にごめんなさい。許してくれとも言いません。もし、随分と前のことで、そんなことをずっと気にしていたのか、と私を憐れんでいるホタルがいるなら、どうぞ笑って破り捨ててください。正直、今思うと、どれだけ自分が弱くて、ホタルなんかよりずっと馬鹿だったと、思い出すだけで体中が痒くなる思いです。開き直ってすみません。


 この手紙には、おそらくホタルが今まで知りたかったことが、たくさん書かれています。でも、知りたくなかった、と思うような内容も書かれているかもしれません。私が言える義理では無いですが、そうここでは忠告をしておきます。私も内容は知りません。


 短いですが、ここからは今日、あなたから朝に連絡を貰って急いで私が書いたものです。この手紙が少し古くなっているのも、本当はこの手紙はもう6年も前に書いていたもので、ずっとあなたに渡せずにいました。


 私はいつか、たとえあなたが気付いていたとしても、自分の過去を打ち明けようと思っていました。でもどこかで、もう許してくれているあなたがいることを願っている私がいます。本当に変わっていないなと、痛感しますね。


 たぶん、私は強がって、あなたに謝らない可能性が高いと思って、こうやって前の手紙を少し書き直したのです。


 本当に、ごめんなさい。


 それで、去年に送った、あの招待状のことですが、あの返事は要りません。どうぞ、早く燃やしてください。もしあの手紙がより、あなたを傷つけたのなら謝ります。ごめんなさい。


 そして、本当に失礼で、粗野で、残酷な女だと思うかもしれませんが、言わせてください。


 もし、あなたが許してくれるのなら、また私と会ってください。来年から転勤で友枝にはいないと思いますが、どこかの町で昔のように、また親友として再会できることを願っています。



 平成18年11月30日
 平成24年4月29日 

     和泉真貴子




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