流れ星に4回目の願いを呟く時。


 山崎へ


 何から話せば良いのか、こうやって手紙を書いているだけでも少し緊張するな。


 まず、ごめん、と言うべきでしょう。急に山崎や和泉たち皆の前から何も伝えずに去って行ったことを、ずっと後悔していました。


 あの頃、父の転勤で友枝を離れることになっていたのですが、僕の家は知っての通り、あまり家族の仲は良くありませんでした。祖父が亡くなってから、父は人が変わったように仕事に打ち込み、姉は非行に走り、母は家庭を顧みない父に嫌気がさし、最悪の状況のまま、母は僕と妹を連れて家を出ました。


 母はあまり強くない人間だったので、そんな状況に耐えられなくなったのです。それから僕は、母の実家がある長野で暮らしていました。


 あの後、高校を出て、東京の大学に進学しました。驚くかもしれませんが、僕は今海洋大学で海の勉強をしています。全然海になんて興味が無かったのですが、やはり寂しかったのでしょう。皆と、山崎と過ごした、あの海の町が。


 東京は毎日が冷たく乾いている、そんな感じです。田舎ばかりで過ごしてきた僕には、少し住みにくい場所の様です。実は去年、その東京で思わぬ出会いがありました。ホタルの大親友だった、和泉に偶然再会したのです。それは偶然観に行ったバレーの大会でした。お互い5年ぶりの再会だったので、顔もすっかり変わっていたかもしれませんが、すぐに分かりました。あんなに大きな声でアタックを打つ女子選手はそうはいませんからね。






 


 
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