私の小さな願い事
翌日


私は、江戸に戻されると見せかけて

御所入りした


私の女中達は、よい身分の方に嫁ぐ

ただ…

優だけは、嫁入りよりも私について行くと

言い張り、共に御所入りした



というのも、「隠密って何?」




久しぶりに喋る私から、聞いた言葉が

あまりにも衝撃的だったようで

私がちんぷんかんぷんなのに

色々、察したようで


「お依里様、おひとりでは危険です!!」


兄に直訴して、許しを得た






隠密とは、何か









未だ、わからないまま








「早速ですが、これに着替えて下さい!」


渡された黒い服を着る

なんていうか、動きやすい!!


「どうして、私までこのような格好…」


少しウキウキしている私と逆に

優は、不安そうにしていた



「では、あの屋根に上がる訓練をします」



「あの屋根なら、上がれるわ」



私がそう言うと、二人が驚いた



育ったお寺の屋根は、まだ高かった



軽くひらりと上がると



「合格です!下りて!!」


シュタッ



隠密って、もしかしたら

私に向いているかも


隠密が何か知らないままだけど


なぜか、そう思えた



「私…屋根など、上がるなんて……」


真っ青な優に

「優、無理しないで……
ここまでついてきてくれて、それだけで
私は、あなたに感謝しているのよ!
ありがとう」


お淑やか、慎ましく!!が口癖の優には

これは、はしたないというものだろう




「お依里様……
御指南下さい!!どのようにしたら
あの屋根に上がれますか!?」

「優……大丈夫?」

「お依里様がやっとお喋りをして下さるようになり、私はとても喜んでおります!!
お依里様の為!!!何でも致します!!!」


頼もしい!!!

そして、やっぱり器用だ



私の言った方法で、難なく屋根へ


「合格!!下りて!!」





こうして、私と優は、隠密になった




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