私の小さな願い事
~高杉晋作~



人生最期に一目惚れとはな…

初めてあいつに会ってから、俺は

惚れてしまった


腕の中にすっぽり収まる小さな体



愛おしくてたまらない




「高杉… 小桃に決断させようと思う
もしも、俺達を選んでくれたら、療養ついでに、小桃を故郷に連れて帰ってくれないか?」

「桂さん… このまま…ここにいるのは
なしですか?」

「ないな
もしも、新選組が襲撃して来たら?
また、小桃が傷つく」

桂さんは、すごく先まで見える人

そうだな

土方歳三は、知らないんだ


「桂さん!!土方歳三に会いに行きます!」

「またお前の悪い癖!!
すぐ、行動したがる~
どこで会う気だ?」

「西本願寺だろ?」

「出たよ!!無鉄砲!!
表から堂々行って、土方の前に門番に
見つかり、騒ぎになるのがオチだ!!!」

「じゃあ、忍び込む」

「護衛をつけてやる」

「ありがとう!!小桃に知らせてくる!!」










小桃…






本当に徳川依里なんだな…


「おかえりなさい!!
無事で良かった!!高杉さんのことだから
屯所に行ったんじゃないかって
心配してたの!!会えた?」

「屯所で会ってきたぞ!
歳三の奴、握り飯はひとつくれたけど
沢庵は、全部ひとりで食べやがってさ!」

「うふふっ 歳三、沢庵好きなの」


初めて笑った顔を見た


俺は、小桃を抱きしめた


「迎えが来ているって… 江戸にいくか?」


小桃の体が、強張るのを感じた


「俺…風邪じゃない

      …労咳なんだ」

同情でも、狡くても、小桃といたい


「故郷に療養するために帰る
一緒に来ねぇか?」


顔を見なくても、動揺しているのが
伝わる


選べねぇか…


そうだ!!!




「小桃!!勝負しよう!!
小桃が勝ったら、江戸!!
俺が勝ったら、俺の故郷!!」



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