私の小さな願い事

命令

御所から二条城までの将軍警護


浪士組は、最後尾にいるように言われる


御所の門付近に、顔を隠したよりの姿がある
よりのそばには、もう一人顔を隠した
奴がいる

あっちも女顔だな


しばらく観察していると
上司なんだなぁ



不思議な感覚だ


弟子なのに、あの頃と変わらず


ちんちくりんなのに




今回の警護は、浪士組の他

より達が八人程


これだけの人数しかいない

つまり、浪士組に任されている


警護が開始されると

将軍 家茂公の廻りをより達


その前後左右を浪士組が囲むように

指示された



よりが時々将軍と会話をしている様子が


近くにいた俺にわかる


すげぇな……


将軍に口をきいてもいいくらいの立場なんだな



二条城まで、無事に警護が終わると

よりが芹沢さんのところに向かう



俺の方には、ちっとも来ようとしないのに



ヤキモチみたいなことを思ってしまう


芹沢さんとよりが、楽しそうにしていて


また、ヤキモチ……ヤキモチだな



結局、知らんぷりのままかよ



ムッとしていると



「歳三~どうした?」

「わぁ!!いつの間に!!」


急に目の前にひょっこりとよりの顔


「ヘンなの…またね!!」 


おどかすだけ、おどかして

さっさと二条城の中へ



「藤原様……」



遠くから、よりを様づけで呼ぶ男の声が

耳に入る



とんでもねぇ弟子をもっちまったな




とはいえ、鼻が高い



よりを… 孝頼を誇らしく思う








数日後







「芹沢を暗殺しろ」



そんな命令が会津から出た



芹沢さん…



あんたに怨みはねぇが



浪士組の為だ








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