私の小さな願い事
二条城に到着してからだった


一ツ橋公がよりに近づいて

「俺のところにこいよ?」

なんて、言ったので


注目集める状態になった


よりがどんな地位にあるのか

そういえば、知らなかった


「お断りします」


無礼な振る舞いばかりで

よりが心配になる


一ツ橋公がよりに手を伸ばし

よりがその手を捻り、なんと!!!

一ツ橋公をひっくり返してしまった



その瞬間、一ツ橋公の側近が
よりに刀を振り下ろす




やばい!!!


キーーーーーーーン


金属音が響く


側近の刀を受けたのは、よりのつれ

相当な殺気をお互い出している



のそっと立ち上がった一ツ橋公は


高らかに笑い声を上げ



「双方、刀を収めよ!!」



しぶしぶと二人が刀を収めた


よりが一ツ橋公に


「二度とお前の警護なんかしない!!」


ぷんぷんに怒って、怒鳴りつけた




本来なら、切り捨てられてもおかしくない
振る舞いなのに、一ツ橋公は笑っていた


それから、よりとつれが、俺たちよりも先に二条城を出た


近藤さんが背中を押してくれた


「行ってこい」



頷くとすぐによりを追う








まだ門のすぐ近くにいた


「より!!!」


俺が声をかけるとぴたりと止まる



「より!!!ごめんな!!
俺、よりのこと嫌いじゃないからな!!」



ちゃんと顔を合わせて謝りたかったが
勢いで叫んでしまっていた


「より……」



振り向くことなく



「ごめん……こんな弟子で
がっかりしたよね……」


よりの弱々しい声が、聞こえた


「んなこたねぇ!!より!!こっち向け!」


「ごめん… 合わせる顔がない……」



よりは、走り去る

つれの奴が、俺にペコリと頭を下げ

よりを追って行った










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