私の小さな願い事
~土方歳三~



よりを大切に思う気持ちは、今も昔も
ちっとも変わっていない


なのに、俺はよりを傷つけてばかり



「より君何だって?」



山南さんが、俺の様子から心配気に聞いてきた


「もう、ここに来るのやめるって……」


「それで?何て言ったんだ?」


近藤さんも心配気に聞いてきた


「なにも……」


二人から、思いっきりため息を漏らされて


「どうして、ちゃんと謝らない!!」

「そうですよ!!師匠に疑われて、どんなに悲しいか……」


痛いことを言われる




返す言葉すら出てこない



俺は、よりを傷つけてばかり









数日後


先日、新選組に持ってきた仕事

一ツ橋公の警護

よりは、大丈夫だろうか……



いつも先に待機しているより

今日は、よりだけ?



いつもいる顔を隠した他の連中がいない



よりは、今回の指揮官であるお方と

打ち合わせをしていた


「歳!挨拶に行こう!」


近藤さんに促され、よりのところへ


「おはようございます
よろしくお願い致します」


よりから先に挨拶されてしまった


ぐだぐだと雑談して、配置につくと



一ツ橋公が出てくる


「ずいぶん長い間、風邪で寝込んでいたそうだな?もう、いいのか?」

「よく、ご存じで……
貴方には関係ないし、心配されたくもありません!」

「クククッ そう、冷たくするな
藤原孝頼… すまなかったな…」

「さっさと籠に乗れ!
貴方を許す気は、ない!!」


この二人に何があったんだか

冷や冷やしながら見ていた




二条城から御所へ近づくにつれ

よりがキョロキョロする



どうしたのだろうか




「止まれ!!」




よりの掛け声で、全員止まる


「その場に腰を下ろせ!!」


指揮官がよりのところへ

よりが何の異変を感じたのか

指揮官とボソボソ話す


それから、指揮官の指示で配置が変わる

後ろにいた新選組は、籠の四方を囲む


よりが俺達を頼ってくれている


それが嬉しい



「一ツ橋様、籠からは出ないよう
お願い致します」


「何事だ?」


「さぁ なんとなくです」


なんとなくかよ!!!


だが、このよりのなんとなくが


いつも当たることを俺は、知っている








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