私の小さな願い事
翌朝

ゴソゴソ……

机に突っ伏せたまま寝てしまっていた

俺の後ろで、依里が布団から抜ける


まだ、立てないので四つん這い


立とうとしたときに支えないと

そう思い、あとをついていく


廊下にちょこんと座る


「おはよ」


俺の声ににっこり笑顔で答える


頭をポンと撫でると


依里の横に座る


依里の頭が俺にもたれてきた


昔は、稽古の合間、いつもこうして

休憩してたな……


懐かしさのあまり、思わず抱きしめる


「土方~~~依里様から離れろ!!」


目覚めた優がすげぇ殺気を俺に向ける


「いいじゃねぇかよ」

「よくない!!離れろ!!」


「ふふふっ 仲良しねぇ!」


依里に可愛く言われると、喧嘩もおさまる


せっかく懐かしさに浸っていたのに

優にとられてしまった







その日の朝餉後

「土方さぁーん!!女子をかこってるって
本当ですか!?」


山崎から隊務復帰許可が出た総司が
朝餉に顔を出さない俺の所にきた

と言うわけだ


「あれ?よりなんで、そんな格好?
女子って、よりのことだったの?」


何も聞かされていなかったらしい

総司に事情を説明すると

「こんなむさ苦しい部屋にずっといたら
治るものも治りませんよ!
優さん!よりの男物の着物持って来てください!
よりは、僕に掴まって!抱っこするよ!
じゃあ!出かけてきまぁーーーす!!」



今度は、総司にとられてしまった



夕餉の知らせに来た優と広間へ


「あっ!土方さんきましたね!
より、こっちからね!」

よりがにっこりしてから


「平助 一 左之助 新八 勇 敬助
総司 優 土方さん」

げっ  何で俺だけ名前じゃねぇんだよ

「ぷっ 僕が土方さんって呼んだから
覚えたんだね!!偉いねぇ~」

幹部らにまで、依里をとられてしまった


「さぁ!夕餉をいただこう!!」


近藤さんの声に皆が食べ始める

依里も皆を見ながら、自分で食べた

なるほど…

依里に必要なのは、自由

東宮様の見立て通りか


総司…ありがとうな








「依里、俺の名前は、歳三だ」

「ん?土方さん?」

「と、し、ぞ、う!」

「……土方さん!!」


どんなに教えても、ニコニコしながら


「土方さん!」


間違ってねぇし、いっか……



少しづつ、戻ってくれたらいいな



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