私の小さな願い事
とある日の警護中

嫌な予感


後ろにいる新選組の歳三に

チラッと視線を送る

うんと頷いて答えてくれた

さすが、歳三

通じたようね!!


私の嫌な予感は、大概当たる



突然襲ってきた者を難なく捕縛したが

私は、倒れた


特に具合が悪かったわけでもないのに


意識は、あるけど

体が動かない



「依里!!」


慶喜様… 籠から出ないでっていつも
言ってるのに……


私の予感は、当たる


殺気を感じ、どうにか体を起こして

籠に慶喜様を押し戻す


グサッ


背中に感じる痛みよりも

慶喜様を守れてよかったと

安堵した


「依里?どうした?」

「慶喜様… もう、籠から出ないで下さい
貴方を守れなくなる」


手で合図して、籠を出させる


慶喜様の側近の男に支えられ、歩いた


背中に刺さった矢を抜かなかったから

出血が少なかったことが

よかったらしい


「おめでとうございます
お腹のお子も無事ですよ!」



悪いことがあれば、良いこともある


「依里!!」


慶喜様と私のお子がいる

お腹をそっと撫でると

確かに張っている

全く気がつかなかった


「背中が治っても、しばらく安静です!
お腹の張りを感じるでしょう?
ちゃんと、安静にしないと流れます
いいですね?」

「わかりました
安静にします!!」

「依里!!
とにかく、背中の傷を治さねばな!!」




慶喜様は、嫁入りの時と同じくらい

泣いていた


嬉しい時も、涙はでるんですね



私も泣いていた



兄に知らせたい



「家茂公には、文を出しておく」


心を読まれたみたい


「お願いします」


 




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