私の小さな願い事

恐怖

~優~


土方が、提案してくれた

「東宮様に頼んで、二条城に忍び込む許可をもらえばいんじゃねぇか?
依里の様子を気にしているのは、一ツ橋様も同じことだろ?
それに、見つからなければいい…」

ニヤリと笑う

その顔は、あんまり綺麗で

「憎ったらしい!!」


だけど、さすが頭の切れる男ね


出来ることなら、もっと早く教えて欲しかった





二条城に忍び込み、屋根裏から依里様を見つけた

え?

大量の薬を一心不乱に口に流しこんでいた

そっと後ろに降り立ち、目を隠して

吐かせた


こんなたくさんの薬を飲めば

命を落とす


失神した依里様を布団に寝かせた

どうして、こんなに痩せてるの?

お子は、どうしたの?


すぐに慶喜様のもとへ行くと
依里様のもとに、慶喜様は走った


話を聞くと、生まれたばかりのお子を
江戸に引き離された

なんと、慶喜様もお子を見ておらず
抱くことも、依里様が授乳することも
ないままだったそうだ

その上、医者はお子が江戸までもたないと
言ったそうな


目が覚めても、死ぬことばかり


依里様…


明け方、依里様が早くに起き

手にヒモを持ち庭へ

すぐ慶喜様を呼びに行く

慶喜様と私が庭につく頃

依里様が木から飛び降りた

懐から小刀をだし、ヒモを切り

依里様を支え、受け身を取りつつ落ちた



慶喜様の胸で、子供のように泣く



これで、後は体調を回復すれば元に戻る


私のお粥を美味しいと食べて下さった






妊娠中


依里様に何があったのか







最初の異変は、食事

そわそわして、チラチラ私を見る


「食欲がないようなら、下げましょうか?」


そう尋ねると

ぷるぷる震え「食べます」と無理をする


「依里様、もう十分ですよ」

あの、食の細い依里様が、全部食べると
言い張る

それは、食欲では、なく

すごく怯えていた


そして、やはり無理したから、吐いてしまった





二つ目の異変



部屋から出ようとすると、呼吸が出来なくなり、倒れる



三つ目



少しでも依里様をひとりにすると

全身ガタガタ音をたてるほど震える



四つ目



何かにつけて「ごめんなさい」と謝る







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