私の小さな願い事
次に目覚めた時は、明け方

新選組を抜け出した日のような朝


着物のヒモを持ち


裸足で庭に降り、高い木に登る

枝に座り枝に紐を結ぶ

輪っかにしたヒモを首にかけ

飛び降りる


シュッ  ドサッ


「もう辞めて下さい!!」

私の首から、ヒモを取る

その声は、懐かしかった

「依里様…どうして……こんな」

泣きながら、私を起こし抱きしめる



「お子が……待ってるの……ふふっ」

「ならば、俺を道連れにしろ」

慶喜様もいたようで、短刀を差し出された


「何を仰っているのですか!!!」


優は、真っ青


狡い人……私が慶喜様を道連れに出来ないと知ってて言うのだから


「俺は、生きていると思うぞ!!
山猿と呼ばれた依里の子が、たかだか江戸に行く道のりで命を落とすはずがない!!」


慶喜様の短刀を受け取った

「なりませんよ!!」

優がオロオロ


私は、自分の髪を半分、ばさり


「私は、貴方をお守りすると言いました」

「ああ、俺は、依里を幸せにすると言った」



慶喜様の腕の中で、泣いた


生きている


そうね


力強く泣いていたわ


「名前をつけなければならん
朝餉の後、話をしよう
それと、体調が戻るまで、優に女中をして貰う!いいな?」


「優……いいの?」

「あら?私は、依里様のそばに仕えたいと
ずっと言ってるでしょう」

「会いたかった…つらかったよ
優がいなくて、すごくさみしかったよ」

「私も!!依里様が…そばにいないから
さみしくて、会いたかったんですよ!!」




久しぶりに食べた優のお粥は


美味しかった



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