恋の相手は強引上司
エレベーターが閉まってもすぐに動くことができず

ぼーっと立っていると

「・・・・・ちゃんと言えたじゃん?」

聞きなれた声に振り向くと

「え?課長?・・・・・いつから?」

一馬がニヤニヤしながら後ろに立っていた。

「ん?名取君がエレベーターから叫んだ時からかな・・・・」

なんだよ・・・・しっかり見てんじゃん。

っていうか私サボってたのバレたかも

「すみません・・・・売り場戻ります」

と笑顔で言ったのだが・・・・

「ちょっと・・・付き合ってくれ」

「え?」

「売り場には少し借りるって言っておいたから」

そういうと一馬は社用車の止まっている屋上の駐車場へと

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「どうだった?今日の朝礼」

「・・・・・かっこよかったよ」

「惚れ直した?」

「・・・・惚れ直したし・・・私も一馬を支えたいって心から思った」

一馬は頷きながら笑顔を向けた。

「最初にアプローチした時の事憶えてる?」

「うん」

忘れるわけがない。

私は自分の名前が嫌いだった。

恋が実ると書いて恋実なんて今でいうキラキラネームの様だし

現実は恋が実るどころではなく恋とは縁遠い生活だった。

そんな私に一馬が私の恋を実らせてあげると口説いた。

「今だから言えるけど、あれはさ・・・自分に向けて言ったんだ」
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