恋の相手は強引上司
『おつかれさまで~す』

カチ~~ン

お酒の入ったグラスの重なり合う音よりも女子の甲高い声が響く。

なんだか仕事以上の意気込みを感じる。

そして視線はもちろん一点集中。

見えない闘士すら感じて笑える。

だって、店に入ったとたん課長の隣に座りたい私以外の女子全員が

椅子取りゲームでもするかのように狙い定めてたし

課長の前に広げられたメニュー表にも群がるように

「何食べます~~?」「私これたべた~~い」とか何げに自分の好きなものを

アピールしたり

歓送迎会では絶対見られない光景だ。

まさにハーレムだわ。

って自分の彼氏の様子を一番端の席で生中を飲みながらウォッチングしている私もどうかと思うが

こんなことになるだろうと予想はしていたし

長居するつもりもなかったから時間をみて退席することしか

正直考えていなかった。


そして主役の課長はというと終始にこやかで毒気のない表情を女子たちに

振りまいていた。

「課長って~~普段どんなお店に行かれるんですか?」

待ってました!とばかりに一人が質問を始めるとお尻を浮かせて課長の方へ身を乗り出す。

「ん?普段ね~~~」といいながらチラリと私をみると

「こういう若い人が利用するようなおしゃれな居酒屋じゃなくて昔ながらの居酒屋かな~~」

・・・・ってそれ私のことじゃないの?

ビールを飲む手が止まる。
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