君と、美味しい毎日を
07.すき焼き②
小学校でも中学校でも昴を好きだと言う女の子はたくさんいた。

私はその子達に理由もなく嫌われたり、妙に親しげに擦り寄られたりして、実は結構大変だった。

大学で再会した昴は、あの頃と変わらずいつも女の子達に囲まれていた。


「久我原ってどんな子供だったの?」

一般教養の数学の講義で、偶然一緒になった大介くんと隣に座った。
広い大教室での講義のせいか、うるさく言わない教授のせいか、私達以外もガヤガヤとお喋りしている学生ばかりだった。


「今とあんま変わらないよ。昔から女の子にモテてたし、男の子の友達も多くて、いつも周りに友達がいた」

人気者のキャラクターを完璧に演じてた。 けど、多かれ少なかれ誰だって自分のキャラクターを意識しているものだと思うし、それが昴なんだと思う。

皆といる昴が作りモノなわけじゃない。


「瑶ちゃんはさー、元妹としてアイツの女関係どう思う? もうちょっと清く正しくできないのかなー?」

大介くんが昴のお母さんみたいなことを言った。 昴の本当のお母さんがどんな人かは知らないけど。

「え〜?面食いだな〜って思うくらいだよ」


大学の女の子達の間には昴に関する色んな噂がある。

「一度はデートしてくれるけど、二度目は絶対にない」とか「胸の大きい子じゃないとダメだ」とか「彼氏がいるって嘘をつけば、付き合ってもらえる」とか「セフレになら簡単にしてくれる」とか。

ひどいのだと、「本当は男が好き」ってのもあった。

私には、どれが本当でどれが嘘なのかはわからないけど。

何度か女の子と腕を絡めて歩いている昴を見かけたことはある。

昴はわかりやすく面食いだった。

モデルか女子アナみたいな華やかな美人、背が高くてスタイルの良い子が好きなんだと思う。

見かける女の子はよく似たタイプではあったけど毎回違う子だったから、最初の噂は本当なのかも知れない。

昴は、私とは似ても似つかない女の子達に私には見せたことのない笑顔を向けていた。























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