美しき夜、北斗七星が輝く
斗真は何も言わないで俯いた
…俺にさえも言わねぇつもりかよ
「斗真」
「……しょ」
「は?」
何か言ったけど聞きとれなくて
再度聞いてみると
斗真はクイッと顔を上げた
「!」
「…樹には関係ないでしょ」
顔を上げた斗真の表情は
仮面を被ったかと疑うほど
感情が何もない真顔だった
かつて遊園地にダブルデートに行った際
萌が斗真の真顔を見て怖いと話していたことを思い出す
あの時は「あの斗真だぜ?」と笑って流して
萌に怒られたけど
…誰だよコイツ
何だよ
あの斗真なのか?
そう疑えるほど
別人のような顔をしていた