イジワル社長と偽恋契約
「今どこにいる?」
スマホから聴こえて来た声の冒頭はそれ。
この男は「もしもし?」すら言えないのか…
「六本木駅の近くですが…」
「ちょうど良かった。六本木ビルのラ・フールという店にiPadを忘れたから今から取りに行ってくれ?」
六本木ビルはここから10分程度にある複合施設で、高級ショップやレストランとあらゆる店が入っているそのビルは、私のいる駅前からも見える距離にある。
「取引先と会食で使ったお店ですよね?」
今夜の取引先との会食は以前から決まっていた事で、秘書と同席を嫌う旭さんは私を先に帰して自分だけ会食に向かった。
「ああ。資料を見せるのにiPadを使ったのだが置いてきてしまった。頼むぞ」
そう言って電話が切れた。
私はすぐに会食で使ったレストランの方に連絡を入れて、社長が置いてきたiPadを取りに行った。
「おっしゃって下されてば、こちらからお届けしましたのに…」
「いえそんな訳には…ご迷惑をおかけいたしました」
無事に忘れ物をレストランに取りに行くと、私はウェイターに丁寧に挨拶をした高級感漂い店内からはいい香りが飛び交う店からほんの数分で出て行った。
こんなレストランで会食なんていいねぇ…
私なんかここの予約と忘れ物を取りに行かせられただけですし。
「ぇ…雨?」
ビルを出ると地面が濡れていて空を見上げてみると、結構な粒の雨が降り出していた。
最悪…
雨が降るなんて言ってた?
どうしよう…
こんな日に限って折りたたみ傘持ってきてないよ。
ビルの中のショップで買おうかな…
でもたかが傘でも高いのしか置いてなさそう…
「傘も持ってないようじゃ秘書失格だな」
ビルの入り口で迷っていると近くで声がして目を向ける。
すると、すぐそこにスーツ姿で傘をさした旭さんがいた。
驚いてしばし停止しながら見つめていると、
旭さんは片方の手をポケットに入れながら私にゆっくりと近づいて来る。
「…本当に社長?どうしてここに?」
「他に誰がいるんだ。ちゃんと仕事してくれたかどうか確認しに来たんだよ」
少し面倒くさそうに言う旭さんを見て苦笑いしながら、私は今さっきレストランに取りに行ったばかりのiPadを差し出す。
「ちゃんと取りに行きますよ。これも仕事の内ですし」
スマホから聴こえて来た声の冒頭はそれ。
この男は「もしもし?」すら言えないのか…
「六本木駅の近くですが…」
「ちょうど良かった。六本木ビルのラ・フールという店にiPadを忘れたから今から取りに行ってくれ?」
六本木ビルはここから10分程度にある複合施設で、高級ショップやレストランとあらゆる店が入っているそのビルは、私のいる駅前からも見える距離にある。
「取引先と会食で使ったお店ですよね?」
今夜の取引先との会食は以前から決まっていた事で、秘書と同席を嫌う旭さんは私を先に帰して自分だけ会食に向かった。
「ああ。資料を見せるのにiPadを使ったのだが置いてきてしまった。頼むぞ」
そう言って電話が切れた。
私はすぐに会食で使ったレストランの方に連絡を入れて、社長が置いてきたiPadを取りに行った。
「おっしゃって下されてば、こちらからお届けしましたのに…」
「いえそんな訳には…ご迷惑をおかけいたしました」
無事に忘れ物をレストランに取りに行くと、私はウェイターに丁寧に挨拶をした高級感漂い店内からはいい香りが飛び交う店からほんの数分で出て行った。
こんなレストランで会食なんていいねぇ…
私なんかここの予約と忘れ物を取りに行かせられただけですし。
「ぇ…雨?」
ビルを出ると地面が濡れていて空を見上げてみると、結構な粒の雨が降り出していた。
最悪…
雨が降るなんて言ってた?
どうしよう…
こんな日に限って折りたたみ傘持ってきてないよ。
ビルの中のショップで買おうかな…
でもたかが傘でも高いのしか置いてなさそう…
「傘も持ってないようじゃ秘書失格だな」
ビルの入り口で迷っていると近くで声がして目を向ける。
すると、すぐそこにスーツ姿で傘をさした旭さんがいた。
驚いてしばし停止しながら見つめていると、
旭さんは片方の手をポケットに入れながら私にゆっくりと近づいて来る。
「…本当に社長?どうしてここに?」
「他に誰がいるんだ。ちゃんと仕事してくれたかどうか確認しに来たんだよ」
少し面倒くさそうに言う旭さんを見て苦笑いしながら、私は今さっきレストランに取りに行ったばかりのiPadを差し出す。
「ちゃんと取りに行きますよ。これも仕事の内ですし」